Lacrosse Camp @Brown Univ.

2004/6/16

text/ I. Kitano

 

 アメリカに来てから「Camp」と言う言葉を良く耳にする。日本で行う野外キャンプではない。アメリカで「Camp」と言えば、スポーツを教える教室のようなものもある。特に大学のコーチがこのキャンプを主催する。大学のスポーツで日本と全く違うのは、学校のない時に練習などは基本的にない。と言う事で夏休み中の練習などはもってのほか。監督やコーチの契約の仕方によっては、1年契約している人や大学のある期間しか契約してない人など、それはさまざまである。こう言った空いている時間をCampに使う。

今回、Brown UniversityのLacrosse Teamが主催で、うちの大学の施設を利用してキャンプが行われた。「Camp」で指導するのは、Brownのコーチだけではない。うちの選手1人。 Major League Lacrosseというプロフェッショナルのラクロス選手(Brownの卒業生)も中にはいた。それ以外には、ラクロスのAll American* に選ばれた他の大学の選手などなど。指導してもらう子供達にはもってこいのコーチ達である。こっちで驚くのは、子供達は全然そんなことを気にしない。子供たちは自分達がラクロスをできれば、相手が誰であろうが関係ないような感じである。それくらい、スポーツを好きなのだろう。

子供達には非常にいい機会のように思う。そのスポーツを経験した事のない人に教えてもらうのではなく、そのスポーツで良い成績を残し技術に優れた選手から教えてもらうのでは、いろいろ生の声も聞けるだろうし、テクニックも見て学ぶ事もできる。その一方で、教える側に立っている選手にも良い経験になるはずだろう。将来コーチとしてやっていくのには、「コーチ」をしたことがあるかないかでは違ってくる。また、自分の技術を子供達に教える難しさを学ぶこともできるであろう。「コーチ」と言う枠にとらわれるのではなく、「教える」と言う事も学ぶことができる。

日本のスポーツ界で、「コーチ」することはそのスポーツを引退するまでないと思う。特にプロ野球選手がアマチュアの選手を教える事はできないはずである。そんな選手がプロ野球のコーチで成功できるのか?プロ野球のように技術に優れた選手を教えるのは、そんなに難しいようには思えない。ほとんどの選手が完成されている。小学生や中学生を指導、コーチする事の方が難しいのではないか。日本人の性質として、人に物や事を継承するには見て学べとまで言うくらい、教える事をしないように思う。そう言った点で、枠のない指導を気に入っている。プロから子供へ。その子供達がまたプロへ。良い循環のように思う。

Campが始まる前に受け付けを手伝った際に、ある人が申し込みのためにチェック(小切手)に金額を記入しているのを見た。そこには「250ドル」と書いてあった。教える人や学校、キャンプの期間、宿泊が入っているかどうかで金額が変わってくるが決して安くはない。Campはまだあと4日間残っている。

 

●北野 一郎
ATC(NATA公認アスレティックトレーナー)
プリマス州立大学大学院修了
ブラウン大学アシスタントアスレティックトレーナー
※2004年現在