ゴーリーのはなし~反応速度と動作速度~

2006/10/31

text/ M. Uchitani

 

ゴーリーに必要な能力の中で最も重要なことの一つは「アンティシペーション(予測)」だと思います。次に何が起こるのかを嗅ぎ分けることができれば、難しいシュートや動き(カットなど)にも対応できます。また至近距離でのシュートはボールを視覚的に捉えることは非常に困難なため予測が非常に重要です。

 

しかしながらゴーリーのセービングは「予測」のみに頼ることもできません。シュートやオフェンスの動きに適切に反応するためには「反応」そのものの能力を向上するよう努めなければなりません。

 

反応をよくしたいと考えるなら、まずは反応とはどのようなプロセスで起こっているかを理解する必要があります。スポーツにおけるスピードとは、ある一定の 条件下において、認識過程や強い精神力と神経・筋系機能によって、反応速度や動作速度を最大にまで高める能力を意味します。ゴーリーの場合、視覚の刺激に よる反応時間や反応速度が重要です。反応速度とは刺激に対してできるだけ速く反応する能力を意味します。また動作速度とは外的な小さな抵抗に対してハイスピードで運動を行う能力を意味します。シュー トを打たれそのボールに対して適切なスティックワークでヘッドを移動させると同時にステップにより適切なポジションに身体を移動させセーブする。すなわち ゴーリーはシュートを打たれたと同時に反応し、一瞬の間に手と足をはじめ身体を適切に動かさなければなりません。これは非常に高度な運動です。

 整理するとゴーリーは2つの段階を経て反応し動作していることになります。まず第1段階は視覚刺激による反応です。シュートが放たれボールがどのような強さでどのコースに飛んできているかを「認識」しなければいけません。第2段階はその認識に基づき実際に身体を動かします。反応を高めるトレーニングにおいてはこの2つの段階を理解する必要があります。第1段階においては視覚が重要なファクターとなるため、いわゆるビジョントレーニングが必要であり、第2段階においては身体を素早く適切に動かす為に、動作速度を高めるトレーニングが必要になります。さらにセーブする際の「フォーム」の再現性を高めるトレーニングも重要です。

また、これらの反応スピードを改善するためのトレーニングを行う際には以下の事を注意しなければなりません。

 

・最大下のスピードで行った練習は,最大スピードとは異なり,脳によりそのスピードでの動作パターンを作る(遅い動きを学習してしまう)
・ハイスピードで「プレー」することによってのみ,実際に速くなることができる.