Virginia vs Johns Hopkins 

Championship Game, May 26 at Baltimore, Maryland

2003/5/28

text/ M. Uchitani

 

 2003年5月26日、NCAA Division Ⅰ Men's Lacrosse Championships ファイナルゲームがM&T Bank Stadium-Ravens Stadium-(観客数/37944人)において行われ、ヴァージニアがジョンズ・ホプキンスを9-7で破り3度目のチャンピオンとなった。

ヴァージニアは、昨年のトーナメントではシラキュースにオーバータイムで負けファイナル進出を逃していたが今シーズンはMount St.Mary's, Georgetown, Marylandを下し順当に勝ち上がってきた。一方、ジョンズ・ホプキンスは1987年以来優勝から遠ざかっており、その1987年に2年生だった Dave Pietramalaが一昨年からチームを指揮し今年はファイナルゲームまで導いた。昨年のジョンズ・ホプキンスは非常にディフェンシブな戦いをし、創造性の乏しいオフェンスでがっかりさせられたが、今シーズンは攻撃力のあるチームに生まれ変わりトーナメントでは、Army, Towson,を下し、セミファイナルでは昨年のチャンピオンSyracuseを19-8と圧勝し、1989年以来のファイナルゲーム進出となった。

1Q、ヴァージニアは開始4分で2点を先取し、着実に得点を重ね1Q終わって4-0でヴァージニアがゲームの主導権を握った。ジョンズ・ホプキンスはヴァージニアのゴーリーTillman Johnsonの好セーブに阻まれ得点できなかったものの、セミファイナルのシラキュース戦(1Qでは1点しかとれず、その後3Q、4Qにオフェンスが爆発し、シラキュースを圧倒していた)同様、あせりは感じられなかった。

2Q、 5分過ぎよりジョンズ・ホプキンスは、ゾーンディフェンスを使い始めた。Pietramalaの意図は別として結果的にヴァージニアのミスを誘う事に成功し、立て続けに2点を奪い本来のオフェンスを取り戻し2点を返し2Q終わって6-4でヴァージニアがリード。やはりディフェンスでリズムをつかむことがオフェンスに勢いをもたらす。

3Q立ち上がりからジョンズ・ホプキンスがエキストラマンオフェンスのチャンスを得るがTillman Johnsonの集中力は切れずビッグセーブを繰り出す。
その後、ジョンズ・ホプキンスは粘り強いディフェンスから個人技により得点し1点差に詰め寄るが、ヴァージニアはエキストラマンオフェンスでの得点と、A.J.Shannonの豪快なミドルシュートで再び3点差に突き放す。

4Q、ジョンズ・ホプキンスはエキストラマンオフェンスによりチャンスを得るものの得点できず。ミッドフィルダーAdam Donegerのミドルシュート頼みではあまりにも策がなさすぎた。3点差で迎えた残り3分30秒、ジョンズ・ホプキンスはレッドドッグ・ディフェンスによりボールを奪い、Kyle Barrieが強引な1on1から得点し2点差に詰め寄るが、その直後にヴァージニアも1点を挙げ、ヴァージニアはこの時点でほぼ勝利を手中にした。その後Adam Donegerの意地のミドルシュートにより9-7とするが、ヴァージニアが2点を守りきり9-7で勝利した。連日の雨でグラウンドコンディションは最悪だったにも関わらず、両チーム最高のパフォーマンスを見せファイナルゲームにふさわしい熱い試合となった。

REVIEW
 ヴァージニアのミッドフィルダーA.J.Shannon(4ゴール)とChris Rotelli(1ゴール4アシスト)の活躍が光った。A.J.Shannonのシュートはすばらしかった。ジョンズ・ホプキンスは彼の能力,プレースタイルをセミファイナルまでの戦いで十分知っていたにも関わらず、やられてしまった。彼のシュートはミドルレンジからでも相当な脅威であったはず。彼にいいポジションで仕事をさせてしまったのが敗因の一つだろう。

ヴァージニアのオフェンスの特徴は、コントロールされたペネトレイトからいい条件のプレイヤーをさがしパスを出し、より確率の高い状況でフィニッシュまでもっていけるという点である。オフ・ボールのプレイヤーがマークを外しフリーになりシュートチャンスを作り出す。シュートセレクションもよく、より確率の高いプレーを選択する判断力を身に付けている。このあたりはヘッドコーチのDom Starsiaの手腕だろう。
一方、ジョンズ・ホプキンスのオフェンスは、昨年よりは成長をみせているが、ミッドフィルダーのAdam DonegerやAT陣らの個人技に頼る傾向があり、デザインされたものとは言いがたい。攻撃力があるだけにオフェンシブシステムの確立の部分で課題が残った。

ジョンズ・ホプキンスは2Qよりマンツー・マン・ディフェンスとゾーン・ディフェンスを使い分けた。中でもMFをボトムに配置するタイプ(ホプキンスでは Greenと呼んでいる)を使い、ヴァージニアオフェンスのミスを誘いゲームの流れを引き寄せる効果もあったが、決め事(ポジショニング)のミスにより簡単に得点される場面もみられた(この1点が痛かった)。このようなディフェンシブシステムを実行するにはゴーリーを中心とした組織としての高い集中力と戦術的な役割の遂行が要求される。

Tillman Johnsonは間違いなく今シーズンのベストゴーリーである。この日も何度もエキサイティングなプレーを見せてくれた。彼は、身体的な反応速度以上にコール、集中力、ポジショニング等のファンダメンタルに加え、「予測」がすばらしかった。幾度のピンチをその予測能力により回避した。彼のプレーを見ていると、ゴーリーはシュートが放たれる前の「準備のフェーズ」がいかに重要であるか再認識させられた。

負けはしたもののジョンズ・ホプキンスの闘う姿勢は観る者を熱くさせ、来期の完全復活(優勝)を予感させた。